皆さんは、目を閉じたまま走ることができますか?視覚障害者にとって、ランニングは長年、大きな課題でした。しかし、テクノロジーの進歩が、この状況を大きく変えようとしています。本記事では、視覚障害者のランニングを支援する最新技術について、従来の手法からAI技術を活用した最新の取り組みまで、具体的な例を挙げて詳しく解説します。
手引きランニング:視覚障害者ランニングの基本
視覚障害者がランニングを行う最も一般的な方法は「手引きランニング」です。この方法では「きずな」と呼ばれる短いロープやバンドを使い、ガイドランナーと視覚障害者が一緒に走ります。ガイドランナーは視覚障害者に進行方向や周囲の状況を伝えながら並走します。そのロープで共に走る感覚は、まさに共鳴しているかのようです。視覚障害者がガイドランナーの目を借りている感覚なのです。
しかし、この方法には大きな欠点があります。それは、一緒に走ってくれるガイドランナーがいなければ、そもそも走ることができないという点です。また、ガイドランナーとは同じ速度で走る必要があり、自分のペースで自由に走ることが難しいという問題もあります。こうした制約を受けず、視覚障害者が自分のペースで走るための新技術についてご紹介します。
Googleの視覚障害ランナー支援プロジェクト:プロジェクトガイドライン
Googleは、視覚障害者が自立してランニングを楽しむための「プロジェクトガイドライン」を展開しています。このプロジェクトでは、スマートフォンと骨伝導ヘッドホンを使用し、音声で自分の位置を伝えます。ガイドとなる線からどれだけ離れているかを、左右の音の大きさの差で教えてくれるのです。スマートフォンのカメラを使ってランニングコースに設置された紫色のラインを読み取り、機械学習技術を使ってリアルタイムで情報を伝えてくれます。
プロジェクトガイドラインはオープンソースプロジェクトとして公開されており、GitHubからダウンロードして誰でも試すことができます。必要なものはGoogle Pixel端末、骨伝導ヘッドホン、ガイドとなる紫のラインです。
横浜ラポールでのランニング体験:2024年7月13日

2024年7月13日、「横浜ラポール」で開催された視覚障害者向けランニング体験イベント「Googleプロジェクトガイドライン」に参加しました。
当日のプログラムは、地下トラックでのマンツーマン指導から始まりました。参加者はスマートフォンを装着したベルトをつけて、実際にランニングを行います。私も、この体験でアイマスクを着用し、普段は弱視で目に頼って生活している中、視覚に頼らず走る挑戦をしてみました。
アイマスクを装着すると、前に何かがあるように感じ、不安な気持ちが強まりました。その状態で、音声だけを頼りに前へ進むことになります。音は進むべき方向に応じて変化し、正しい方向に進むと音が強くなる仕組みです、しかし、腰の角度によってカメラが線を正確に認識できないことがあり、トラッキングが不安定になる場面がありました。このため、トラッキングの根本的な方法の改善が必要だと感じ、フィードバックでその点をお伝えしました。
また、トラッキングに使用されるラインの色が紫である理由についても質問したところ、紫色が自然界では最も少ない色であり、認識しやすいため選ばれたという回答をいただきました。
解決策を考察
「プロジェクトガイドライン」は、視覚障害者がガイドランナーなしで走ることを目指しています。しかし、現時点では技術的に難しい点が多いようです。例えば、一度線からずれてしまうとアプリ自体も線を見失ってしまう課題があります。
例えば、こんなアイデアはどうでしょうか。
- ジンバルの使用:ジンバル(安定装置)をバンドに取り付けることで、ロープの振動を最小限に。

ジンバルを使用することで、ランナーの動きによる振動や揺れを軽減し、カメラの安定性を向上できます。これにより、ラインの認識範囲が広がり。トラッキングが外れにくいです、特に不整地や急なターンでも、カメラが常に正面を向いて映像を捉えられます。
- ライダーセンサーやモーションセンサーの利用:これらのセンサーを活用することで、周囲の状況を3次元で把握する。

ライダーセンサーやモーションセンサーを活用すると、周囲の状況をより詳しく把握できます。ライダーセンサーは、iPhoneのProシリーズなどに搭載されており、障害物の位置や形を正確に検出します。一方、モーションセンサーはほとんどのスマートフォンに内蔵されていて、ランナーの動きを細かく追跡します。これは歩数計などにも使われていて、どんな動きをしているかを分析できます。
これらのセンサーを使えば、ラインを追跡するだけでなく、3D空間での正確な位置把握や障害物回避ができるようになります。例えば、前にある段差や障害物を事前に感知し、音声で知らせることができるでしょう。
まとめ
課題は多く残されていますが、面白い取り組みですね。プロジェクトガイドラインに関しては、横浜ラポールで体験会が開催されています。興味のある方は、ぜひ横浜ラポールのWebサイトで詳細を確認してみてください。また、皆さんも「こんな技術があれば、ランニングがもっと便利になるのでは?」というアイディアがあれば、ぜひコメント欄で教えてください。
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